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酸洗い処理に関するまとめ

酸洗いの他にも酸洗、酸洗浄、酸浸漬、ピックリングといった呼び方がありますが、どのような処理なのか金属塗装における酸洗い処理を中心に説明させていただきます。

酸洗いとは

酸洗い(酸洗)とは金属に熱処理、溶接、ロウ付けなどにより生じた錆、スケール、酸化皮膜、不動態皮膜を硫酸や塩酸で除去する作業のことをいいます。一般的に使用されている鉄などは空気中に置いておくと自然と表面から赤錆と呼ばれる錆が発生します。これは空気中にある酸素と水分が鉄と結びつく事により起こる化学反応です。また、金属を加工する際の熱などによりスケールが発生したりします。このような錆やスケール、また不働態皮膜を含めた酸化皮膜も、場合により塗膜の密着性や耐食性能に影響します。また、塗装の下地となるリン酸塩皮膜などの皮膜化成工程においてもこれらが皮膜の品質や外観に影響を与える場合があります。(酸洗いなしで十分な化成皮膜を得ることができることも多いです。)

このように塗装や皮膜化成に影響する錆やスケールなどを硫酸や塩酸で除去する作業のことを酸洗いといいます。

個体毎にことなる表面状態のワークから、均一、且つ塗装下地に適した化成皮膜を得るために、酸洗い処理によって皮膜化成処に適した表面状態とします。メッキ工程では、酸洗いをして金属表面を活性化させるかどうかでメッキの品質に影響したりします。

酸洗い処理の手順・作業内容

金属塗装前処理工程における酸洗い処理は、基本的に浸漬処理となります。酸洗い用の薬品を貯めた槽にワークを浸して処理を行います。また、酸洗い工程のある塗装前処理工程は以下のような工程になります。

  1. STEP 1

    脱脂

  2. STEP 2

    水洗(2~3段)

  3. STEP 3

    酸洗

  4. STEP 4

    水洗(2~3段)

  5. STEP 5

    皮膜化成

  6. STEP 6

    水洗(2~3段)

  7. STEP 7

    純水洗

  8. STEP 8

    水切乾燥

  9. STEP 9

    塗装

殆どの工程では、ホイストやコンベアといった搬送装置でワークやワークを入れた金属カゴを処理槽に浸します。酸洗い薬品に定められた時間、浸した状態にした後、水洗工程で表面に残った薬剤成分を洗い流して後工程に続きます。ワーク表面に残った薬剤成分の影響を抑えるために、中和工程を設ける場合もあります。

酸洗い処理の注意点・その他まとめ

  • 金属表面は、通常、錆やスケール、酸化皮膜などに覆われて保護された状態で安定しています。酸洗い処理を行うとこれらの保護膜が取り除かれて、再度錆びたり酸化皮膜が出来たりしやすい状態となっているため、速やかに中和や皮膜化成、防錆といった処理をすることが大切です。
  • 酸洗い処理で使用する薬剤は、硫酸や塩酸、硝酸といった無機酸が主成分です。必要に応じて、クエン酸やグリコール酸などの有機酸が成分として選定される場合もあります。いずれにおいても、保護メガネや保護手袋といった保護具を着用して安全に作業をすることが大切です。使用薬剤やワーク材質、処理量によって増減しますが、酸洗い処理時には反応ガスが発生しますので、全体、或いは局所廃棄装置が必要となります。
  • 一般的に、スケールの除去性が良い=反応性が良いものは、人体や環境への影響が大きくなる傾向があります。
  • 酸洗い処理に限らず、塗装前処理工程は排水が発生し、排水処理が必要となります。既存の排水処理設備がない、或いは処理ができない場合は、設備の設置や改良が必要です。
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