高分子凝集剤に関するまとめ

高分子凝集剤をご存じでしょうか。高分子凝集剤について、ご説明いたします。

高分子凝集剤とは

高分子凝集剤とは、ポリアクリルアミドやPolyDADMACといった分子量の大きな有機凝集剤です。凝集剤とは、液体中の懸濁物質を凝集させる効果のある薬剤のことで、無機凝集剤と有機凝集剤の２種類に大きく分類できます。液体中の懸濁物質を凝集する効果は、固液分離をする排水処理で利用されています。

水処理の方法

高分子凝集剤を使用した水処理の方法は、物理化学的水処理方法に分類されます。水中の不純物をフロックとして分離した後、高分子凝集剤を使用して粗大なフロックとします。一般的に、このような凝集処理は、凝集沈降処理を採用した排水処理工程で利用されています。フロックとして分離した不純物を沈降させて上澄みを綺麗な水として分離する方法です。高分子凝集剤でフロックを粗大化させるのには、理由があります。フロックを粗大化させると沈降速度が向上するため、効率的な沈降分離ができるようになるからです。
このような凝集処理で使用される薬剤は次のような種類があります。

凝集とは

排水中には様々な物質が溶解したり浮遊したりしています。この排水中に浮遊している物質の多くは、表面に電荷を帯びることで安定して分散しています。電荷を帯びている状態では反発しあって、まとまることができません。凝集剤によって電荷が中和されて塊となり、これを凝集といいます。(場合により凝結と呼ぶ場合もあります。)

凝集剤の種類

凝集剤は、無機凝集剤と有機凝集剤の2種類に分類できます。

無機凝集剤

塩化第二鉄や硫酸バンド、PAC(ポリ塩化アルミニウム)といった凝集効果のある無機物質です。pHを調整することで金属水酸化物が析出して、水中の懸濁物質の表面電荷を中和して凝集させる効果があります。凝集処理では、広く利用されている薬剤です。

有機凝集剤

冒頭で説明した通り、凝集効果のある分子量の大きな有機物質です。高分子凝集剤は、時に網に例えられます。懸濁物質の表面電荷を中和するとともに、複数のフロックを絡めとることで大きなフロックにする効果があります。無機凝集剤と比較すると高価ですが少量で効果を発揮するため、無機凝集剤による一次凝集と高分子凝集剤による二次凝集と、2段階で効率的な処理をすることができます。有機凝集剤は、下記のように3つに分類できます。

アニオン性高分子凝集

カルボキシル基やスルホ基といった負の電荷をもつ官能基を持つ高分子凝集剤です。懸濁物質の正の電荷を中和する効果があります。

カチオン性高分子凝集

アミノ基のような正の電荷をもつ官能基を持つ高分子凝集剤です。懸濁物質の負の電荷を中和する効果があります。

ノニオン性高分子凝集

アニオン性高分子凝集剤やカチオン性のようなイオン性官能基を持たない高分子凝集剤です。懸濁物質の表面に吸着、複数のフロックを架橋することで粗大なフロックとする効果があります。

これらの高分子凝集剤は、ジャーテストなどで選定されます。また、高分子凝集剤は少量で効果を発揮しますが、過剰に使用した場合はフロックの粗大化を阻害する要因となるので注意が必要です。

ペイントキラー剤における高分子凝集剤

ペイントキラー剤でもフロックの粗大化が高分子凝集剤を使用する目的です。処理性を確認するラボ試験や凝集塗料の回収方法などの使用条件を元に高分子凝集剤を選定します。適切な高分子凝集剤を使用することで、より良い回収性や脱水性を得ることができます。

ペイントキラー剤と共にご検討の際には、是非ご相談下さい。