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リン酸処理に関するまとめ

 金属表面処理、特に塗装前処理の工程で使われるリン酸処理についてのまとめです。

リン酸処理とは

  • リン酸塩処理の効果
    リン酸塩処理をすることで、被処理物の表面にはリン酸塩の皮膜が化成します。用途により処理の目的や効果は変わりますが、塗装をする鉄鋼製品の多くは、塗装下地として塗膜の密着性や耐食性等の向上のためにリン酸塩処理が利用されます。
  • リン酸塩処理の加工方法
    リン酸塩処理の一般的な処理工程は、脱脂→水洗→表面調整→皮膜化成→水洗→乾燥→塗装→焼付となります。一番最初に行われる脱脂は重要で、リン酸塩皮膜の仕上がりだけでなく、塗装の仕上がりにまで影響します。これらの工程は多くの場合、スプレー処理や浸漬処理でリン酸塩処理をします。リン酸塩皮膜剤で建浴した液(=加工液)を使用しますが、薬剤毎に使用条件は設定されていて、最も重要な項目として薬剤の濃度と温度、処理時間が挙げられます。良好なリン酸塩皮膜の仕上がりを得るためには他にも重要な項目がありますが、この3つの項目は特に重要で、基準となる範囲から逸脱した場合はリン酸塩皮膜が全く化成しないこともあります。

→脱脂処理の必要制についてはこちら

リン酸塩処理の目的とメカニズム

リン酸塩処理を施す目的には下記のようなものがあります。

  • 塗装下地用
    塗装下地用として施されるリン酸塩処理を行う多くの場合は、塗膜と金属との密着性と耐食性の向上を目的として施されます。先に挙げたJISK 3151(1996)に「塗装下地用リン酸塩化成処理剤」ではリン酸塩皮膜の種類毎に下記のように主な用途が記載されています。規格の中で分類がされていますが、あくまで目安です。塗装下地用途としてリン酸塩処理剤の改良やリン酸塩以外の処理剤の開発が進められていることから、塗装下地処理剤の選定は要求性能の他、ワークの材質や処理方法、処理コストなどを元に選定することが大切です。
  • 塑性加工用
    リン酸塩皮膜の持つ可塑性を使用する目的で施されます。特にリン酸亜鉛系皮膜が採用されます。塑性加工時に潤滑剤と共に使用されます。
  • 防錆用
    塗装した状態、或いは塗装していない状態での防錆を目的として施されます。塗装下地として利用されるリン酸鉄皮膜とリン酸亜鉛皮膜では、基本的にリン酸亜鉛系皮膜の方が耐食性は良好で、リン酸亜鉛系皮膜の耐食性は皮膜の性状(結晶サイズや均一性、付着量など)と塗装される場合はその塗料との組合せに左右されます。
  • 耐摩耗用
    主にリン酸マンガン皮膜が採用され、金属製品の摺動部の部品に対して利用される場合があります。リン酸亜鉛系皮膜と比較した場合にリン酸マンガン皮膜の方が硬いため採用されます。
  • その他
    その他にも、絶縁性の付与やリン酸塩皮膜の外観をデザインとして利用する目的などで利用される場合があります。

皮膜の種類や使用する薬剤などで変わる部分もありますが、リン酸塩皮膜処理をしたときに起こる反応は次のような流れになります。

  1. 皮膜剤による金属素地のエッチング反応(酸の消費)
  2. 反応部分周辺の薬液pHの上昇
  3. pH上昇によって不溶化したリン酸塩の金属素地上への析出

ワーク、金属の表面はミクロな視点で見た場合は均一ではなく、このような皮膜化成反応は➀の反応が起きやすい場所から起こり周辺へ広がっていいきます。化学反応のひとつである皮膜化成反応の進み具合は、反応速度を決める要因である濃度と温度、そいsて反応に掛ける時間に大きく影響を受けるため、皮膜化成工程において非常に大切な管理項目になります。

リン酸塩処理の種類とそれぞれの特徴

リン酸塩処理、化成する皮膜の種類によって以下のような種類があります。基本的にいずれの処理においても適用素材は鉄鋼製品となります。

リン酸鉄処理

リン酸亜鉛処理

リン酸マンガン処理

以上のように用途や要求性能によって適したリン酸塩皮膜を選定、使用することが大切です。

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