金属塗装は前処理が不可欠!
金属はそのままでは活用の幅が限られますが、塗装を施すことによって活用の場が格段に増えます。しかし、金属塗装には適切な前処理が大変重要になります。
金属塗装の前処理とは
金属塗装を行うのは見栄えを良くする目的はもちろんですが、腐食から金属本体を守るという役割を持っています。そのためには前処理をして下地を整えた上で、均一に塗装して金属部分にしっかりと塗膜を付着させることが重要です。この塗装の前段階において最も重要なことが前処理で、塗装対象の金属表面が汚れていたり錆びていたりすると思うように塗膜が付着しない可能性があります。また、塗装箇所の表面が平らになっていなければ綺麗に見えないことがあり、正面から見た際は綺麗に見えたとしても角度を変えると凸凹した印象になりやすくなります。
塗装後にこのような問題が起こらないためにも金属塗装において前処理が非常に重要なものになり、その方法としては次のようなものがあります。
金属塗装の前処理の種類
機械的方法
大きく分けると金属塗装の前処理には機械的方法と化学的方法の2種類があります。
機械的方法というのは塗装する金属の表面部分を綺麗にすることを目的として行われ、基礎的な方法としてワイヤーブラシ、サンドブラストなどによる研磨です。金属製品はむき出しの状態では錆びていきます。その錆びを取り除く処理として表面を削るという作業を行うのが研磨です。
化学的方法
化学的方法というのは綺麗にした金属表面を皮膜で覆い、塗膜が剥がれにくくすることを目的にしているほか、傷が付いて塗膜が剥げても錆が広範囲に渡らないことを目的に行われます。これの主な工程には脱脂剤を使用して金属表面の油や汚れを除去した後、リン酸塩皮膜剤などを使い処理を行います。このリン酸塩皮膜は塗膜の付着性を高めるのとともに防錆性も高める効果があります。
金属塗装の目的・必要性
塗装は、金属の表面を美しく彩るだけでなく、錆から守るという重要な役割を担っています。塗装されていない金属は、時間とともに錆が発生し、外観も損なわれてしまいます。しかし、適切な塗装を施すことで、建材、自動車、産業機械など、様々な分野で金属製品の可能性は大きく広がります。つまり、金属塗装は、単なる金属に付加価値を与え、製品の寿命と美観を向上させるための不可欠な工程なのです。
しかし、ただ塗装を施しただけでは、期待通りの塗膜の付着性や防錆性を発揮することはできません。そこで重要となるのが、塗装前の「下準備」、すなわち「塗装前処理」です。塗装前処理は、塗装面の清浄化、エッチング、皮膜化成を行うことで、塗料がしっかりと密着し、均一で美しい仕上がりを実現します。
つまり、塗装前処理を行うことで下記のような効果が得られます。
塗膜の密着性向上
塗装面についた油分や汚れは、塗膜剥がれの原因となります。弊社の薬品は、これらの不純物を徹底的に除去し、塗料がしっかりと密着する理想的な表面を作り出します。強固な密着性は、製品の寿命を延ばし、長期的な塗装品質の保持に寄与します。
美しい仕上がりを実現
塗装面の凹凸や傷は、仕上がりの美しさを損ないます。密着性の良くなるよう金属表面の清浄性を確保することは、均一で美しい塗膜を実現することに繋がります。
防錆効果の最大化
金属製品にとって、錆は大敵です。適切に塗装前処理を行うことで、錆の発生を抑制し、製品を腐食から守ります。化成皮膜は、塗装した金属製品の防錆能力を引き上げる効果があります。
塗料の性能を最大限に引き出す
このように塗装製品の性能は、下地処理によって大きく左右されます。塗装前処理を適切に行うことで得られる下地は、塗料本来の性能を最大限に発揮することに大きく影響します。
前処理をしても塗膜が剥がれてしまう場合
塗膜が剥がれる原因は数多く考えられます。ワーク表面の油分が塗装工程まで残っていたり、皮膜化成工程まで残った油分が皮膜化成反応を妨げたり、皮膜化成工程後の水洗水が汚れていたり、金属素地や化成皮膜との密着性が発揮されない塗料との組み合わせであったり、塗料の重ね塗りをしている場合は塗料同士の密着性が十分でなかったりと非常に多くの原因が考えられます。
適切な鋼材に適切な塗装前処理、適切な塗装をした結果、清浄な金属表面に正常な化成皮膜、正常な塗膜が形成されている場合、一般的に良好な密着性、剥がれにくさを発揮します。また、経年変化によって密着性が低下します。多くの場合、これらの正常な状態から外れてしまっている部分がないかに注目して塗膜剥離の原因を究明していくことが、解決への近道です。
前述の通り、塗膜が剥がれる原因は多岐に渡ります。塗膜の剥離でお困りの際には、ご使用中の塗料のメーカーや前処理薬剤のメーカーへご相談いただくと、各メーカーの経験や知見を元に原因究明や対策立案のお役に立てることと思います。
塗装前処理に関する部分では、下記のような処理工程であった場合、可能性の高い工程から3つ挙げるとSTEP1とSTEP5、STEP6或いはSETP3が考えられます。
STEP1の代表的な原因として脱脂不足(さらに脱脂不足の原因として薬剤濃度低下や処理温度不足、液老化、付着油の変更等)、STEP5の代表的な原因として純水の汚染(さらに汚染の原因として、前工程の水洗工程の汚染や純水製造装置の性能低下、空気中の浮遊ゴミの混入等)、STEP6の代表的な原因として水切乾燥炉内での表面汚染(さらに汚染の原因として、外部からの汚染物質混入や搬送装置からの液垂れなど)、STEP3の代表的な原因として化成不良(さらに化成不良の原因として薬剤濃度の不適正化や鋼材の変更、処理温度過不足等)等が考えられます。
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STEP 1
脱脂
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STEP 2
水洗(2~3段)
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STEP 3
酸洗
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STEP 4
水洗(2~3段)
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STEP 5
皮膜化成
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STEP 6
水洗(2~3段)
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STEP 7
純水洗
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STEP 8
水切乾燥
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STEP 9
塗装
通常、塗膜が剥がれた時の原因究明として工程を一つ一つ確認することはしません。実際に塗膜が剥がれている製品を観察して不具合の発生箇所や頻度、発生経緯などの複数の情報を元に想定される原因を絞った上で検証をしていきます。状況によりラボ試験による原因調査が必要となるケースもあります。原因をどれだけ絞り込めるかは、知識だけでなく経験も重要になってきます。