加水分解
加水分解(かすいぶんかい、hydrolysis)とは、反応物と水が反応し、分解生成物が得られる反応のことです。
塩の加水分解を例にすると、弱酸や弱塩基(弱酸や弱塩基は解離平衡定数が小さい物質)の塩を水に溶かして水溶液にした際、塩の一部、或いは全部が元となる酸や塩基を生成します。化学反応式で表すと、XY+H2O→XOH+HYのような反応となり、水分子は生成物の上でHとOHとに分かれ、それぞれ取り込まれます。
リン酸亜鉛皮膜処理の場合、加工液中に溶け込んでいる第一鉄イオン(Fe2+)は促進剤により酸化され、第二鉄イオン(Fe3+)となり、水と加水分解を起こし、水酸化第二鉄となります。この水酸化第二鉄はリン酸亜鉛皮膜のスラッジに含まれる成分の一つです。
弱酸と弱塩基が共存する場合、弱酸根は水素イオンを消費し、弱塩基イオンは水酸化物イオンを消費し、加水分解反応はほぼ完全に進みます。 例えば、水の浄化処理時に使用される硫酸バンドとソーダ灰では下記のような反応が起こります。
2Al3+ + 3CO32- + 6H2O → 2Al(OH)3↓ + 3H2CO3
H2CO3 → H2O + CO2↑
生成した水酸化アルミコロイドは水中に分散している不純物(塗料、顔料、ゴミ等)と結合し、大きめのフロックになります。高分子凝集剤と併用すれば、さらに大きくなり沈降速度を上げることが可能です。
そのほか、有機化合物、無機化合物(共有結合)の加水分解反応もあります。