凝集
凝集とは、一般には、赤血球が抗体を作る時のように、細かく分散しているものが集まって、大きくなることを指します。細胞の説明など生物学的用語として使用されることが多いですが、化学用語で言えば、コロイド粒子が集まって、大きな粒子となる現象のことを指しており、この現象は、フロキュレーションとも呼ばれています。地学でいえば、海の中もしくは土壌溶液中から粘土の粒子が集まり、堆積されて出来る堆積岩などの説明時に使用されている単語です。
金属においても同様で、液体または、気体中に分散している粒子が集まることを指します。凝集のきっかけとしては、温度の変化や高分子物質の添加、無機塩などの電解質の添加、超音波などが挙げられます。
又、この現象を利用した例として、汚水の浄水に於いては、そのままの状態では沈殿・ろ過などで取り除けない小さく分散した物質を凝集させることによって沈殿・ろ過が可能な状態とします。このときに使用される薬剤は、凝集剤と呼ばれます。凝集剤は、大きな分類として無機系凝集剤と有機系凝集剤に分けられます。無機系凝集剤は、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム、塩化第2鉄などで無機系凝集剤を添加して適正なpHに調整することで、凝集剤成分が析出して凝集効果を発揮します。有機系凝集剤は、分子中に電荷を持った有機物質のことです。通常、分散した汚染物質は電気的な作用(同じ電荷を持つ物質同士の反発作用)で分散状態が維持されていますが、この有機系凝集剤は汚染物質のもつ電荷を中和してやることで反発作用をなくして凝集現象を促します。また、高分子凝集剤と呼ばれる有機系凝集剤の場合、比較的大きな薬剤成分は糸状や網状になっていて、分散した汚染物質を絡め取ってさらに大きく凝集させることが可能です。