局部電池
電池は電解質溶液に浸された金属間で電位が行き来する事によって電気が流れる構造です。単純な仕組みではイオン化傾向の高い金属(アノード)から電子とともに、金属がイオン化して電解質溶液中に放出されます。この時、電子はイオン化傾向の低い金属(カソード)へ移動し、電解質溶液中のイオンと結びついてカソード側の金属表面に付着します。
局部電池は、この原理が金属表面で局部的に発生する現象です。ある金属材料について、表面上は単一の金属で構成されているように見えますが、実は顕微鏡レベルで見れば多数の不純物が混じっている事が分かります。これは異種金属が接触した状態であると言えます。接触した金属間に電解質溶液が存在すれば、電池構造が構成される事となります。
この時、主となる金属材料の方がイオン化傾向が高ければ、金属が電解質溶液中に放出されていきます。金属が放出され、内部が露出したとすれば、そこには新たに電池構造となりうる金属材料と不純物が現れ、更に金属材料のイオン化を加速させます。同一箇所でより深く金属が漏出し、虫食いのように金属が腐食する現象をピッティング(孔食)といいますが、この内部は濃密な電解質溶液環境となりやすく、周辺に比べ、より腐食しやすい状態となります。