黒皮
黒皮とは、熱間圧延鋼板や型鋼などの鉄鋼材料の表面を覆っている酸化皮膜の事です。鉄鋼メーカーではスラブと呼ばれる鉄鋼の塊を引き伸ばすため、熱間圧延という加工がされます。これによって鉄鋼が真っ赤に焼けた状態で空気中に晒され続けた結果、鉄鋼表面に黒ずんだ酸化鉄が発生します。これを黒皮と呼んでいます。転じて、切削加工のされていない金属材料の表面を総じて黒皮と呼ぶこともあります。
黒皮は空気中の酸素と反応して生じるものなので、鉄鋼の表面にのみ生じ、内部に侵入する事はありません。鉄鋼の表面を覆う黒皮は、新品の鉄鋼の酸化を防ぐ皮膜としても機能しています。
実際に鉄鋼材料を利用するためには表面の黒皮を削り取る必要がありますが、内部の鉄鋼そのものよりも硬く、切削工具が磨耗したり損傷してしまう危険性があります。化学的に黒皮を除去する場合、酸洗処理で黒皮を溶解・除去することが可能です。また、黒皮を除去する前後で鋼材の寸法が変化します。製品設計・鋼材選択の際には、寸法に注意が必要です。