フェノールフタレイン溶液
フェノールフタレイン溶液は、粉末状であるフェノールフタレインをエタノール等に溶かしたもので、アルカリ性の検出に使われている試薬です。
フェノールフタレインは、化学式でC20H14O4と表記される有機化合物です。フェノールフタレイン溶液として、中和滴定の指示薬としてご存じの方も多いかと思います。粉末の状態では、白色または淡黄色の個体であり、空気中で安定な物質です。
フェノールフタレイン溶液は、対象の物が酸性または中性の場合は無色を示すので、酸性か中性かの判断は出来ません。対象物がアルカリ性であればピンク色に変化し、pHが高くなるほどに濃くなります。pH8.0~9.8で徐々に濃いピンク色に変化していきます。さらにpH13.4以上になると無色になります。
中和滴定での使い方は、フェノールフタレイン溶液をあらかじめ添加した対象の水溶液に酸、又はアルカリの滴定溶液を垂らして、色の変化を見ていく方法を取ります。管理方法としては、気密の保てる容器で密閉状態にして保管します。フェノールフタレイン溶液を廃棄する場合は、安全データシートに記載されている廃棄方法に従って廃棄します。自治体により廃棄方法が異なる場合もあるため、併せて確認が必要となる場合があります。
フェノールフタレイン溶液の用途として、中和滴定時の変色指示薬やコンクリートの中性化試験(炭酸塩生成による中性化)などがあります。コンクリートは、通常pH12から13程度のアルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸塩を生じて中和されていきます。鉄筋コンクリートが中性化すると内部の鉄筋に錆が生じやすくなり、錆が発生、成長すると膨張圧によるひび割れ等につながります。