浮上分離
混合液体や液体中に固体が存在する場合、液体を静置していると、比重の軽いものは液体の上方に浮上していきます。これは沈殿という現象の逆になりますが、比重の重い液体を沈殿させるというように考えることもできます。重力を利用して分離する方法では、見方を変えることで沈殿と同じ考え方となります。このように、比重の違う液体や液体中に存在する固体を重力を利用して分離する方法として浮上分離というものがあります。
浮上分離では、液体を空気と一緒に加圧した後に常圧に戻すことで微細な気泡が発生する現象を利用して浮上させる加圧浮上分離がよく使われています。水を加圧して空気を水の中に強制溶解させて大気中に開放することで、溶解した空気がとても小さな泡として出てきます。溶解させた空気が気泡となる時、水と固形物の境目である不連続界面に、極小さな気泡が発生しやすいという性質があります。この性質を利用することで、気泡と固形物がくっついて固形物が浮上してきます。
汚れた泥水の浮上分離に利用されたり、水よりも密度の低い油などに浮上分離は利用されます。油の場合には、水と油が混じり合ってエマルジョンというものを作っていることが多いので、あらかじめ酸で分解するなどしてエマルジョンを破壊してから薬品で凝集させて、加圧浮上を行ったりします。