不動態
通常、強い酸は金属と激しく反応をします。酸の強弱は、溶液中での電離のしやすさ=イオンへの分離のしやすさで決まります。しかし、そのような一般論に当てはまらない金属も存在しています。アルミニウム、鉄、ニッケル、クロムは希硝酸とは反応するのですが、濃硝酸とは反応することはありません。
それは何故かと言うと、金属の表面に化学的に安定な酸化皮膜が形成されてしまうからです。その結果として酸化皮膜に覆われた金属部分が保護されることになります。
このように本来ならば、激しく反応をするという性質が失われてしまった金属の状態を不動態と言います。アルミニウムを空気中に置いておく場合でも不動態になり、それ以上錆びることはありません。しかし、空気中でアルミニウムに生成した酸化皮膜はとても薄いので剥がれやすいものです。ですから、この酸化皮膜を人工的に生成して厚みを持たせることがあり、それをアルマイトと呼び工業製品に幅広く用いられています。