防錆剤
防錆剤(ぼうせいざい)とは、金属材料の表面に発生する錆を防ぐために用いられる薬剤のことを言います。鉄以外の金属に用いられる場合は、腐食抑制剤や腐食防止剤・防食剤と呼ばれることもあります。
防錆には大別して金属メッキなどの表面処理による金属被覆、ガラスやセラミックなどの無機被覆、塗料や錆止め油などを塗装する有機被覆などがあり、各処理においてさまざまな防錆剤が用いられます。
被覆による防錆処理を行う防錆剤としては、代表的なものにさび止め油、さび止め剤、さび止め紙(フィルム)などがあります。
さび止め剤には気化して表面に皮膜を形成する気化性防錆剤や水溶性防錆剤があり、ジシクロヘキシルアンモニュームナイトライト(略称ダイカン:DICHAN)などが代表的です。さび止め紙やさび止めフィルムは表面に気化性防錆剤を塗布した紙やフィルムであり、鉄製品の包装紙などに用いられています。
その他の防錆剤には、金属表面をコーティングする可塑性プラスティックや表面に疎水膜を形成するインヒビター、金属表面に錯塩を形成しさびを防止するキレート化合物などがあります。
また、シリカゲルなどの乾燥剤や脱酸素剤なども防錆剤として使用されることがあります。