表面処理とは
表面処理とは、広義に於いては物質の表面・界面について物理的・化学的に処理をすることです。狭義に於いては、物質の表面・界面について化学的・電気化学的な方法で皮膜を形成、或いはエッチングをする処理のことです。
通常、金属は素地のまま製品になることはまれで、多くは表面保護と美観を目的として塗装を行います。そして、塗装を長く美しい状態に保つためには表面処理が不可欠です。
一般的な表面処理工程の例(リン酸亜鉛処理)
表面処理の種類と大まかな流れ
狭義の表面処理でも、その処理目的によりさまざまな処理技術があります。
塗装前処理として利用されるリン酸塩処理では、鉄鋼の表面にリン酸塩を析出させることでリン酸塩皮膜を形成させて塗膜との密着性と耐食性をされる目的で利用されています。金属製品の外観を良くする目的では、金属皮膜を析出させるメッキ処理や金属表面をエッチングさせて加工するエッチング処理といった表面処理もあります。
多くの工程で共通しているのは、脱脂処理と皮膜化成処理です。
脱脂処理は表面処理の第1段階として、金属表面の油やゴミを取り除く工程です。成形加工後の金属表面には、油やゴミがついているので、これをそのまま塗装しても塗装がぶつになったり、すぐに塗料が剥がれてしまいます。
一般に油をとることを「脱脂」、使用する薬品を「脱脂剤」と呼びます。脱脂剤はアルカリ性で、脱脂後処理物に付着している薬品を洗い落とすため、水洗が必要です。脱脂、水洗後金属をそのまま放置すると錆が発生します。従って、脱脂から塗装までの間の防錆処理が必要となります。
防錆と併せて、塗装の密着性を向上させるのが「皮膜化成処理」で、使用する薬品を「皮膜化成剤」と呼びます。皮膜剤は酸性で、化成処理後処理物に付着している薬品を洗い落とすため水洗が必要です。
この一般的な表面処理工程は、スプレー処理や浸漬処理のような異なる処理方法でも、共通する内容となります。処理方法は、ワークサイズや形状、生産量、要求スペック、表面処理設備の設置面積などといった条件から決まります。